ピタリと寄せるショートアイアン

ゴルフ

寄れば楽し

130ヤード先のピンにピッタリと寄せることができたら…。バーディチャンス到来。もちろん、ロングコースならドライバーとセカンドショットがきっちりと打てての話しですが、短いショートコースなら、この1打で勝負ありです。

この130ヤードの距離を狙うクラブといえば、いわゆるショートアイアンです。平均的な男性なら9番アイアンあたりでしょう。ショートアイアンが安定すれば、仮にロングコースでセカンドショットをミスしたとしても、何とか挽回できます。それどころか、ピタリと寄せることができれば、バーディもあり得ます。そうなれば楽しいこと間違いなしです。

ショートアイアンとは

一般的に、ショートアイアンとは8番、9番、ピッチングウエッジ、アプローチウエッジ、サンドウエッジの5本を指します。平均的な男性なら80ヤードから140ヤードほどの距離を狙う際に用います。

80ヤードより短い距離はアプローチショットといい、3種のウエッジや7番アイアンなどを使ったりします。またグリーンのすぐそばから打つ場合なども、これらクラブを使います。

こうしたごく短い距離を打つ場合を除いて、フルスイングかそれに近いショットをショートアイアンで打つには、どうしたらよいでしょうか。

左に引っかけるのは当たり前

ショートアイアンはヘッドが返りやすく、ボールを捕えることが容易なクラブです。このため左に引っかけるのは、よく起こることです。さらにクラブを振る軌道がアウトサイドインであれば、球は左方向に打ち出され、大きく左に曲がることになります。

また、フルスイングするとクラブが短い分、一層ヘッドが返りやすくなり、左への引っかけが多発することになります。さらに、アイアンにはグースネックとストレートネックがあり、重心角(フェース面と垂線の角度)が大きくなるグースネックは球がつかまりやすくなるため、左に引っかける要因にもなります。

トップがでれば、ダフリもでる

ショートアイアンで問題になるのが、左への引っかけに加えてトップ(球の上部<top>を打ってしまうショットで、球は低く飛び出すか地面を転がるゴロになります)やダフリ(球の手前の地面を叩く<duff>ショットで、球はほとんど飛びません)もあります。その原因は球を上げようとすることに一因があります。

ピンにピタリと寄せるために高く上げて転がらないように、さらにはバックスピンをかけてグリーンに落ちてから戻ってくるように、とのイメージで打ちますと、どうしても右肩が下がってしまい、トップや、ダフリのミスにつながります。

思ったより飛ばない

また、思ったよりも飛ばないというケースもあります。ショートアイアンはクラブが短い分、球の近くに立つことになります。そうすると、クラブを真上に上げるような構えになります。そのまま打てば、真上に上がったクラブが真下に降りてくることになります。

この時に、背中側に反るように体がブレてしまうと、スイングの軌道が変わってしまい、クラブの芯に当たらないため、飛距離が出なくなってしまいます。ブレが大きいと、トップやダフリ、シャンク(シャフトの根元部分で打ってしまうショットで、球は極端な右方向に出ます)といったミスにもつながります。

ショートアイアンの打ち方

では、どのように打てば、トップやダフリ、シャンク、短い飛距離をなくすことができるのでしょうか。「球を右寄りに置く」「ハンドファースト(手<グリップ>を球より左側に置く)で打つ」「ダウンブロー(スイングの最下点より前に球を捉える)で打つ」「フルスイングしない」「一番手大きなクラブで打つ」など、解決策はたくさんあります。

球を右寄りに置く

一つひとつ見ていきましょう。まずは「球を右寄りに置く」です。通常は真ん中に球を置きますが、少しだけ右寄りに置くと、球を高く上げようとする、すくい打ちが出にくくなり、意識しなくてもシャフトが立った状態で球を捉えることができます。

これによってミスショットが減るのですが、実はこの球の位置を右寄りに変えることは、「ハンドファーストで打つ」「ダウンブローで打つ」と連動しています。球を右寄りに置き、手の位置をそのままにしておくと、おのずとハンドファーストになります。

手が球より左にあるわけですので、スイングの最下点より前に球を捉えることになります。これが正にダウンブローです。ダウンブローで打つとフェースが立っていますので、低い打球になりますが、しっかりと芯で捉えれば、もともとフェースが寝ている(ロフト<クラブフェースの傾斜>が大きい)ショートアイアンですので、球は高く上がります。

むしろ球を低く打ち出すつもりで打った方がうまくいきます。ダウンブローで打っているためバックスピンがかかりやすく、グリーンに落ちてから転がりが少なく、狙った場所に近付けることができます。

注意点としては、球を右寄りの置く時に、手も一緒に右に寄せてしまうことです。これですとスライスや引っかけなどが多くなります。手は左足太ももの内側に置き、球やクラブヘッドよりも必ず左側にくるように心がけて下さい。

フルスイングしない

次はフルスイングしないです。ショートアイアンは、狙ったところに球を運ぶのが目的ですので、フルスイングして遠くに飛ばす必要はありません。思いっきりスイングすると、体がブレて芯で捉えることができません。またタイミングがズレて、スライスやフックなどが生まれます。要は力を抜いてコントロール重視のショットをするわけです。

では、どのくらいの力で打てばいいのでしょうか。80%くらいの力といわれても、なかなかイメージするのは難しいでしょう。例えば肩から肩までの振り幅で打つ、あるいは腰から腰までの振り幅で打つというと、少しはイメージしやすくなるのではないでしょうか。

ピンまで残り130ヤードだとすると、平均的な男性なら9番アイアンのフルスイングでピッタリ(転がりは考えずに)でしょう。フルスイングせずに80%くらいの力で打つのであれば、番手を一つ上げる必要があります。8番アイアンで130ヤードを狙うわけです。これであれば、力まないスムーズなスイングを実現することができます。

どうすれば、80%の力で打てるのか。それは練習しかありません。例えば9番のフルスイングで130ヤードの人は、同じ9番で110ヤードを飛ばすためにはどのくらいの力で打てばよいのか、知る必要があります。

ここで問題なのは、130ヤードを8番や7番で打つ時の心の葛藤です。一緒に回っている仲間に非力なところを見られたくないという見栄との闘いです。いいスコアで上がるのが目的ですので、大きめのクラブを使おうが、ピタリとピンに寄せることができれば、何ら問題はないと、自身の心に言い聞かせましょう。

練習方法

練習方法としてはフルスイングから80%の力で打つのではなく、50%以下の力で打ったうえで、少しずつ60%、70%、80%と上げていくと、うまくいきそうです。もちろん、やり方は人それぞれですので、自身に合った方法を探して下さい。

振り幅によるコントロールも同様です。いきなり肩から肩ではなく、最初は膝から膝という小さな振り幅から始め、徐々に腰から腰、肩から肩に振り幅を広げていく方がマスターしやすいようです。

打ってみた

球を右寄りに置く

では実際に打ってみましょう。球を右寄りに置く、ハンドファーストで打つ、ダウンブローで打つ、の三つは同じ行為ですので、一度で試せます。まずはこの三つの打ち方の前に、これとは逆の、球を真ん中かやや左寄りに置き、手の位置を球より後ろにし、払うような(横振りのような)打ち方をやってみました。

結果は言うまでもありません。まったくといっていいほど当たりません。屈辱のシャンクも何球か出る始末です。そのうえで球を右寄りに置く、ハンドファーストで打つ、ダウンブローで打つ、を試したところ、気持ちがいいくらいクリーンな当たりが出てきました。

残念ながら、どのくらいバックスピンがかかっているのかは分りません。グリーンを見下ろせるショートコースなら確認できると思いますので、そのチャンスを待ちましょう。

フルスイングしない

フルスイングしない、一番手大きなクラブで打つも同じ行為ですので、これも一度で試せます。球を右寄りに置く、ハンドファーストで打つ、ダウンブローで打つと同様に9番アイアンを130ヤード飛ばすフルショットを打ってみました。いつも通りですので、これはさほど違和感がなく、ミスショットもあまりありません。ただ確かに狙った場所にピッタリと落とすことは難しく、前後左右にズレるショットが大半です。

そこで番手を一つ上げて8番アイアンで力を加減して打ってみました。ですが、こちらは慣れないこともあり、簡単にはいきません。マスターするには時間がかかりそうです。力加減するショットは、なかなか安定しません。

そもそもフルスイングだからといって、100%の力で打っているわけではなく、普段からスムーズなスイングを心がけて80~90%の力で軽めに打っているのであれば、こちらの方が安定しそうです。

まとめ

ショートアイアンをうまく使えるようになると、ドライバーでナイスショットをした時とは違った満足感があります。大技に対する小技のような感じで、職人技といってもよいような感触です。

ピンにピタリと寄せることができれば、ワンランク上のレベルでゴルフを楽しむことができます。そのためにドロー(左に曲がり距離の伸びるショット)ではなく、フェード(右に曲がり転がりの少ないショット)で打つゴルファーも少なくありません。

楽しいゴルフを実現するために、ショートアイアンの打ち方を身に付けましょう。

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